両棲類飼育者が覚えるべきツボカビ問題の諸々(最終更新日時 2007/03/26/22:44)
幻想熱帯雨林さんより転載(最新記事はコチラ) 始めに
ツボカビに関する諸情報
消毒薬、殺菌剤の種類、及びその入手方法
飼育ケース、飼育廃水の消毒方法
検疫および日常の管理方法について
ツボカビかなと思ったら
フィールドワークに於ける注意事項(ツボカビ関連)
始めに
当ページは、両棲類飼育者が覚えるべき、ツボカビ問題の諸々の事柄をまとめた頁です。ツボカビ問題に対して、一般飼育者がどのように向き合えば良いのか、みたいな頁であり、ツボカビの治療をしようという頁ではありません。ツボカビの治療には専門の知識と、適した設備を要するものであり、個人にできることはでありません。生兵法は怪我の元ですから、そうではないかという疑いがある場合、必ず獣医師に相談してください。
この頁の目的は、ツボカビが日本に侵入したことを受けて、いかに自分の飼育環境に持ち込まないか、という自衛の為の知識を分かり易く説明することです。また、万が一、自分の飼育環境にツボカビが入ってしまったりしたとき、気付くのが遅れて野外に出� �しまうことを防ぐために、両棲類飼育者が今後(ツボカビがいるいないは関係なく)、日常的にどのような管理を行えば良いか、また、ひょっとしてツボカビではないか、と思った時にどう対応すれば良いのか、ということをまとめています(現時点では、まとめようとしています、が正しいけれど)。
現在制作中であり、情報を随時募集しております。
ツボカビの詳細については、リンク集にある麻布大、或いはWWFのサイトを参照ください。
当ページ(パブリックドメインとして公開しています。
当ページとは、フォルダ、閲覧者は営利非営利問わず、これらを自由に利用することができます。出典などを示す必要もありません。
極端な話、自分のWebサイトや、本などにそのまま転載するなど� �用することも、印刷したものを販売することも自由です。そのまま利用することも、改変することも出来ます。筆者に許可を求める必要はありません(パブリックドメインとして公開した時点で、この頁の文章は公(パブリック)のものであり、権利者は筆者ではないので、許可を求められても、筆者が出すとか出せるとかそういうものではないので)。
ただ、現時点では当ページは未完成であるものの、速報性を重視し公開していることを鑑み、完成するまでの間は、できれば転載する場合は最新のものを転載し続けるようにして頂きたく思います(特に致命的な誤謬が認められた場合の対策として)。
但し、文章内部に他のインターネットサイト、及び書籍からの引用がある場合には注意が必要です(引用部にはその旨� ��記します)。引用部分の一部のみを取り出して利用することはできません(引用に当たらないからです)。ですが、当ページは著作権に基づき正当な引用を行っているものであり、文章全体を纏めてコピー(引用)することは著作権上問題は生じませんので、たとえ引用部分があっても、それも含めて、記事をそのまま全文転載することはできます。正当な引用な含む正当な記事を、正当なライセンスのもとで転載しているに過ぎないからです。(此処は著作権について考える頁ではないので、詳しくは割愛します)。
当頁に誤謬及び誤植、誤字などを見付けた場合は、ご連絡下さい。
当ページは最終更新日時(〜)が後であるものほど最新とし、その情報の正確性は後者ほど高くなるものと思われます。
■ツボカビに� ��する諸情報
■人間には罹患しません
まず、ツボカビによる感染症は人間には起こりません。衰弱している人、老齢の人、幼児や新生児であっても、全く影響のないものです。
症例が報告されているのは、両棲類(カエル、イモリやサンショウウオなどの有尾類)と、一部の淡水エビのみです。
哺乳類(犬、猫)、爬虫類、鳥類、植物、魚類には感染しません。
■必読リンク集
麻布大学
ツボカビ症に関する解説書 (PDF 81KB)
ツボカビに関するQ&A (PDF 26KB)
WWF
ツボカビに関するQ&A
環境省
■どうすれば?
導入から60日以上たち、他の個体との水による接触がない個体である場合、緊急の心配はありません。
取り敢えず、今まで通り飼育を続けてください。但し、健康に問題があるように見られるものに関しては、獣医師に相談が必要になります。
また、健康に見える個体であっても、導入から60日以上が経過した個体を飼育しているのみという場合であっても、今後は、飼育に使った水を捨てる場合は殺菌を行ってから廃水をすること、飼育容器は殺菌するべきです(註)。
(註釈: アフリカツメガエルなど、確認されている種類数は数える程であるようですが、罹患しても発病しないで、保菌者になっているカエル� �存在する為です。ベルツノガエルなど、一般によく飼育されている殆どの種類は、罹患すればほぼ確実に発病しますので、60日間以上飼育していれば緊急の心配がない、というのはそういうことだと思われます。少々マイナーなカエルを飼育されているマニアの方は、留意しておくべきかと思われます)
殺菌の方法、薬剤についてはこちら。
健康の心配があるカエルの相談は下記へ。
■ツボカビとは
ツボカビとは、ツボカビ門に属する菌界の分類群であり、その特徴として鞭毛を持つ遊走細胞を形成することが挙げられ、有機物表面に付着する種群では、遊走細胞(遊走子)を放出する際に丸い蓋が開くように見えるものがあり、その様が壺のようであるので、この名がつけられたとされます。
このツボカビが起こす感染症が、ツボカビ症と呼称されているもので、公式に報告されたのは1998年とごく最近になっています。ただし、その後の調査で1938年のアフリカツメガエルの標本から検出されたものが調べられた中で最も古いことから、もっと以前から世界中に蔓延し始めていたのではないかと言われています。この種類が元々のキャリアであったという推察は、アフリカツメガエルの自然下のとある個体群から検出されていることと、アフリカツメガエルは女性の妊娠診断に用いる目的で当時世界各国に輸出されており、時期と、複数の地域に輸出されたものを洗い出すなどの結果得られたもののようです。
オーストラリアで90年代に爆発的に広まり、オーストラリア固有の両棲類に壊滅的な打撃を与え、幾つかの種の絶� �の要因になったとも言われています(無論、環境破壊などの影響もあるので、一概には語れません)。その後、中南米などで発見され、此処でも深刻な被害を与えており、2005年にはタイでも発生したとされます。
原因はツボカビ門に属するBatrachochytrium dendrobatidisという真菌の一種で、土壌や淡水中に棲息し、有機物の分解菌或いは腐植菌として、キチン、セルロース、ケラチンなどの分解されづらい物質を利用しています。両棲類の皮膚には生きた細胞の状態で存在するため、ツボカビの遊走子が100以上付着することで罹患し、発症します。
その致死率は非常に高く、種類によっては90%以上が死滅します。但し、一部のアフリカツメガエルやウシガエルなどでは症状が出ないまま経過し保菌者になることがあります。そして、一度入ったツボカビ症は、ウシガエルのような発症しないカエルにより広範囲に感染が広がり、多大な被害を及ぼしたと言われています(日本のウシガエルからは、以前の調査ではツボカビは検出されませんでした)。
感染してい るかの判断にはPCR検査が有効で、種類により症状がまちまちであることもあり、外見から判断することはできません。治療方法もありますが、一般療法で対処できるものではなく、むしろ感染を広げてしまう危険性が高い為、必ず、かつ早急に専門知識を有する獣医師に相談してください。
オーストラリアでは靴やタイヤに付着した泥から感染が広がったケースが指摘され、窓口における検疫だけでなく、国民ひとりひとりの検疫意識の高さが問われる面が強いと言えるでしょう。例えば、旅行先が汚染地域であった場合、靴をビニール袋などに入れて持ち帰れば、それだけでツボカビを持ち帰ってしまう危険性があるからです。そうした靴などは、洗浄と洗浄廃水の消毒、靴自体の薬剤消毒が望ましいでしょう(フィ� ��ルドに於ける諸注意を参照)
■感染経路
ツボカビは、水を感染経路としています。感染したカエルの表皮にとりついたツボカビが増殖し、遊走子を放出すると、これが水の中を泳いで他のカエルに付着することで感染が拡大していきます。この為、空気感染することはありません。水の管理を徹底することで、感染の予防はもとより、感染拡大を防ぐことができます。検疫については後述します。
但し、各種消毒剤を使ったとしても、ツボカビの感染症を治療することはできません。治療する方法はあります。ですが、治療には必ず獣医師の判断を仰ぐ必要があります。
また、個人でツボカビかどうかを診断することは不可能です。決して素人考えで判断したりせ� �、不安を覚える場合には獣医師に相談の上、PCR検査の申し込みをすると良いでしょう(PCR検査は、その検査はもとより、その相談や申し込み手続などは無料です。各獣医師の方々はボランティアですので、失礼なきよう、留意ください)。
各種の除菌剤、殺菌剤を用いた飼育廃水、飼育ケースの除菌は、日本の生態系を守る為に、万が一に備えて、カエル飼育者すべてが遵守すべき事柄ですが、ツボカビの治療・検疫とはまったく別の事柄ですので、混同しないようにしなくてはいけません。
■感染しているかどうか調べるには?
PCR検査というものがあり、一般飼育者は無料で検査を受けることができます。
国立環境研究所が検査を行いますが、検査の申請は一般からは行えず、必ず獣医師を通して 行う必要があります。綿棒などでカエルの表面を軽く擦り、それを検査するというもので、個体を持ち運ぶ必要はありません(不安にかられても、個体をいきなり持ち込むような真似はせず、かならず予めメール、ないし電話で各獣医師にご相談ください。メールアドレスが公開されている場合、メールで問い合わることが推奨されています)。
2007/01現在、検査体制を整えている最中であり、今月末から来月頭から本格的に検査体制が整うと言われています。
現時点では、カエルの検疫、調子の悪い個体は他の個体と一緒にしない、取り扱い時は、一つのケースを触ったら滅菌してから他のケースに触る、できることならばケース毎に使い捨てビニール手袋を用いる、ケースの中にあった皿などのマテリアルは薬� ��で消毒し、土や植物などは密封して焼却廃棄すること、飼育廃水は次亜塩素酸ナトリウムで消毒する、などの飼育者ひとりひとりができる対策をひとつひとつ、とっていくことが大切だと思われます。(当ページでも纏めて行く予定です)
■相談窓口
現時点(2007/01)で感染しているかどうかの検査(遺伝子解析による検査。PCR検査といいます)は無料となっています。
すなわち、各先生方はボランティアとして窓口になってくださるのであり、先生方の本業に差し障りのないようにすることを留意してください。連絡をとる前に、当ページで基本事項を確認することをお薦めします。
メール窓口がある場合は、まずは、メールにてご連絡下さい(公式に、そのようなお願いが出ております)。
(引用、
事業者情報なので個人情報保護には抵触しない内容ですが、扱いには留意してください。
■都道府県、五十音順
■愛知
よしむら動物病院 吉村友秀先生(愛知県)
木曜日定休
0586-62-8021
メールの問い合わせは→mai/b>
9:00-13:00
16:00-19:00(日曜祝日除く)
天白動物病院 太田昭彦先生(愛知県)
052-801-4311
9:00-11:30
17:00-19:30(土曜日を除く)
日曜休診
■大阪
アスクジャパン 浅木裕志先生(大阪府)
詳細不明
中津動物病院 中津賞先生(大阪府)
nakatsbr/> 072-232-6472
9:00-13:00
17:00-20:00
土・日・祝日の午後休診
■沖縄
那覇 獣医科病院 高良淳司先生(沖縄県)
メールの問い合わせは→save.frog/b>
098-857-1008
9:00-12:30
14:00-19:00(祝日日曜は17:00まで)
診療時間終了の30分前には受付終了。
ながみねどうぶつクリニック(Google検索) 長嶺隆先生 、天野洋祐先生 (沖縄県)
098-979-0001
9:00-12:00
15:00-19:00
■岡山
ナカムラペットクリニック 中村金一先生(岡山県)
086-271-1170
9:00-12:00
16:00-19:00
日曜日、祝日休診
■神奈川
すずき動物病院 鈴木哲也先生(横浜市)
hakusukbr/> 045-593-2333
9:00-13:00
16:00-19:00
日曜日祭日、9:00-12:00
石田動物病院 石田浩三先生(川崎市)
(連絡先が画像データであった為、配慮して画像を用意しました。メールアドレスはあるのですが、医療に関する問い合わせはうけつけてない、とあるので、電話するしかないと思われます)
火曜日休診
9:00-12:00
16:00-17:00
ももの木ペットクリニック 林律子先生(神奈川県)
momonokipbr/> 042-732-1862
木曜日定休
9:00-12:00
16:00-19:00(日曜日を除く)
むく動物病院 田中儀範先生(神奈川県・鎌倉)
0467-47-1604
9:00〜12:00
16:00〜19:00
日曜・祝日休診
■東京
いのかしら公園動物病院 石橋徹先生(東京都)
火曜日定休
0422-48-1722
平日9:30〜12:00
15:00〜19:00
日曜・祝祭日 10:00〜12:00 15:00〜18:00
田園調布動物病院 田向健一先生(東京都)
tamukabr/> 木曜日定休
03-5483-7676
9:00〜13:00 16:00〜20:00
レプタイルクリニック 小家山仁先生(東京都)
03-5684-9221
水曜日定休
平日 10:00-12:00
16:00-20:00
土曜日 16:00−20:00
日曜、祝日 10:00-12:30 13:30-17:00
中野バードクリニック 中野祐美子先生(東京都)
03-5364-2550
火曜日・水曜日定休
15:00-21:00
みわエキゾチック動物病院 三輪恭嗣先生(東京都)
03-6421-3722(完全予約制とのこと)
(火曜日、金曜日、土曜日)
9:00-12:00
16:00-19:00
(日曜・祝日)
9:00-12:00
14:00-17:00
野村動物病院 野村道之先生(東京都)
0424-60-7667
9:00-12:00
16:00-19:00(日曜・祝日休診)
■埼玉
おぬま動物病院 小野貞治先生(埼玉県)
(連絡先が画像データであった為、配慮して画像を用意しました)
註:副院長の小野貞治氏に取り次いで貰うのが良いかと思われます。詳しくはリンク先を参照下さい。
メール相談フォームがあり ますが、この件に関して此処から問い合わせて良いかは不明です
平日 6:00-11:45
16:00-19:45
祝日・日曜 9:00-11:45
オリバー動物病院 西尾里志先生(埼玉県)
048-987-5585
■千葉
いちかわ動物病院 笛木敬祐先生(千葉県)
04-7344-124
9:00-12:00
16:00-19:00
水曜日・日曜日休診
■栃木
アンドレ動物病院 戸崎和成先生(栃木県)
火曜日定休
028-649-7799
9:00-13:00
16:00-19:00 (祝祭日除く)
山下獣医科 山下正弘先生(岐阜県)
058-392-1622
他詳細は不明です。
クウ動物病院 田中治先生(大阪市)
06-6912-9870
10:00-12:30
17:00-20:00(土日除く)
ナカムラペットクリニック 中村金一先生(岡山県)
086-271-1170
他詳細不明
■北海道
あかしや動物病院 大橋英二先生(北海道)
0155-21-5116
(他、詳細不明です。メールアドレスはないようです)
■新潟
新発田シートン動物病院 齋藤昌博先生(新潟県)
0254-23-7171
(他、詳細不明です。メールアドレスはないようです)
■福岡
アミノ動物病院/福岡県野生動物保護センター 網野志明先生(福岡県)
� ��0949-25-8118
(他、詳細不明です。メールアドレスはないようです)
池田動物診療所 池田繁生先生(福岡県)
0946-21-3281
(他、詳細不明です。メールアドレスはないようです。Google検索)
■消毒薬、殺菌剤の種類、及びその入手方法
飼育ケースや飼育廃水を殺菌するのに有効な薬剤、消毒剤の種類、入手法、希釈率などを簡単に説明する。
薬剤以外の方法では、一番確実なのは煮沸消毒である。ただし、熱湯消毒(=熱湯を振りかけること)と、煮沸消毒は別のものであるので注意が必要になる(詳しくは熱湯消毒について参照)
熱湯は極めて限定された条件下でしか使えないため、汎用性に優れた殺菌方法は、薬剤を用いることとなる。様々なものが有効であるが、薬剤の種� �、濃度により使用方法が異なるため、適切な用法、用量を守って使用することが肝要となる。
但し、此らの殺菌剤はツボカビが万が一にでも野外に出ないようにする為のものであり、ツボカビの治療になるわけではないので、注意が必要である。ツボカビの検査には獣医師を通してPCR検査が、治療には獣医師の指導が必要不可欠である。
薬剤の使用は、ツボカビに万が一にでも感染している個体がいる場合、それの飼育を通じて野外にツボカビが出ることのないように、また他の飼育個体に感染拡大させてしまうことのないように、両棲類飼育者すべてが今後実施していく可き事柄であり、実際にツボカビに感染しているか、否かはまた別の問題である。
今後は、感染している個体がいない� �とが確認されたとしても、これらの薬剤による飼育廃水の除菌はカエル飼育者にとって遵守すべき事柄であろう。(これは何故かということも後述する)
もしも、感染しているおそれがある個体がいるかもしれない場合は、まず、なによりも必ず獣医師に相談に相談すべきである。飼育廃水、飼育ケースの洗浄消毒手順は今後実施していくべき事柄であるが、けっしてツボカビに感染した個体が出た場合の対策では"ない"ことを、繰り返し此処に注意喚起しておく。
また、両棲類の死体を薬剤を用いて殺菌することは出来ないので注意しなくてはならない。これは、体内にもツボカビの遊走子が入り込むからで、死体は焼却処分、或いは煮沸消毒処分としなければならない。詳しく� ��、両棲類の死体の殺菌を参照のこと。
用法用量に関しては、各薬剤に貼付されている説明書を確認、遵守のこと。
基本的に、一度に、一種類の薬剤しか使わないこと。薬剤は混ぜることで反応を起こすものがあるので、くれぐれも用法用量を遵守のうえで使用すること。
飼育廃水の殺菌→次亜塩素酸ナトリウム水溶液(ハイター等)
飼育ケース、器具、飼育棚などの殺菌→熱湯消毒、煮沸消毒、ビルコンS、次亜塩素酸ナトリウム水溶液(ハイター等)、塩化ベンザルコニウム水溶液
メンテナンス時に触れた手の消毒殺菌→塩化ベンザルコニウム水溶液含有の消毒薬、クロラミンあるいはクロルヘキシジン含有消毒薬
■� ��合次亜塩素酸系消毒剤・ビルコンS
写真は5kgパッケージ。最小で1kgだが、小分けにして販売しているペットショップなどがあるので、少量の場合はそういった店を用いると良い Antec社が販売する、様々な成分を含有する消毒剤で、酸化力により優れた消毒、殺菌作用を持つとされ、適切な希釈度数で適切に用いられれば多くの細菌、ウイルス、カビ、芽胞を殺菌することができる。
粉末状で販売され、通常、水に溶解させて使用する。溶液は薄いピンク色であり、時間経過と共に効果が薄れると同時に色も褪せて行く。使用する状況にもよるが、通常、溶解させてから三日から四日以下で使用することが望ましい。刺激性が低く、スプレーなどして使うこともできる。
尚、室温における最高濃度は約4%である。よって、多めにいれてもこれ以上の濃度にはならない(ゆえに、貯蔵溶液を作ることはできない。1リットルの水に100gを加えても、水の底に残るだけで、溶液の濃度は約4%でしかなく、� �の溶液を取り出して薄めれば、無論0.4%となる。よって、たとえば10%溶液を作りだめしておき、使用時に10倍に希釈して使うようなことは、本製品においてはできない。)
使用する濃度は1%(100倍液)である。
1%溶液、すなわち100倍液は、1リットルの温水(ただし、40℃以上では効果が壊れるため、使用してはならない。30℃程度が理想)に10gの粉末を加え、攪拌(かくはん:かきまぜること)することで得られる。
温度が低いと溶けにくく、また硬水であるほどに溶けづらい。粉末が沈殿しておらず、完全に溶解しているかどうかを確認する。溶液がピンク色に染まったら正しく作れていると考えて良い。
44時間ほど経過した100倍液。 色が薄くなると効果も低下する。薄くなる速度は、作った際の濃度だけでなく環境にも因る。よって、薄くなっていたら、たとえ翌日だったとしても効能は低下していると判断すべきである。 公式には120倍液が推奨されているが、これは作り置きせず、その場で使う場合である。ビルコンSは複数の成分の複雑な化学反応による酸化力が、その殺菌作用として働いているため、1%溶液を作り置きしておくと、環境にもよるが、効果が数日で2〜3割ほど減ずるため、作り置きをしておく場合、メーカーからも1%以上で作ることが推奨されている。120倍液を作ると、より早く薄くなってしまうので、作り置きのことも考えると、100倍液で作るのがもっとも実用的である。
ただし、消毒槽や踏み込み槽など、1回に大量に必要とし、作り置きではなく1回で使い切る場合は、120倍液でも良い。